ネットアイビーニュース

2010年7月16日
「福岡市200万人都市構想」実現を地域経済の浮揚のために~(社)九州住宅建設産業協会

 

(社)九州住宅建設産業協会 理事長
(株)コーセーアールイー 代表取締役 諸藤 敏一 氏

 これまで九州の建設・不動産業界を支え続けてきた㈳九州住宅建設産業協会(以下、九住協)。九州の主な住宅関連企業130社で構成される同団体は、それゆえに影響力も大きく課される使命も重い。建設不況、不動産不況が叫ばれる今日、業界の行く末を握るキーパーソンの1人である九住協理事長・諸藤敏一氏は、いかにして業界の浮揚を図っていくのであろうか。

<住宅の需要はしぼむのか>

 ―住宅会社を取り巻く現状をどのようにお考えですか。

 諸藤 住宅業界の現状を端的に言い表すならば、「新設住宅着工件数78万8,410戸」という数字が一番分かりやすいと思います。ピーク時から半減、リーマンショック以前の2006年度と比較しても39%減と惨憺たる有様です。また、新設住宅着工件数という指標は、わが国経済の全体を示す指標としても非常に重要な意味合いがあります。単に、住宅の数というだけではありません。家が建てば家具が必要となり、家具に合わせた調度品の需要も出てきます。テレビや冷蔵庫の買い替えも出てくるでしょう。
 新たな家には新たなライフスタイルが生まれるのですから、衣食住のすべての分野で新たな経済活動が出てくるわけです。先の数字からは、多くの産業で苦戦を余儀なくされている現状が見えてきます。

 ―首都圏ではマンションの販売が持ち直してきたという話もあります。

 諸藤 先行きがまったく暗いというわけではありません。指標が振るわないなかでも、住宅に対する潜在的な需要を感じています。というのも、国内には5,000万戸とも言われる住宅がありますが、これが現代人のライフスタイルに合ったものかというと疑問が残ります。たとえば、体格ひとつとっても、30年前と今とでは大きな差があります。そのニーズが住宅にも反映されてきたからこそ、100㎡を超える広いマンションが求められるようになったのです。
 首都圏での販売状況の持ち直しは、半年ほど遅れて地方にも波及してくるでしょう。これ自体はとても良いことですが、我々としては目先の販売量の大小にも増して、いかに顧客目線の物件を提案して供給できるかに力を注がねばなりません。

<都市力を決めるのは人の力>

 ―九州・福岡の住宅政策をどうお考えですか?

 諸藤 細々した不満や改善要望などは少なからずあります。たとえば、先の条例改正によって、土地に接する道路が4m未満の場合、そこには大きな建築物を建てることができなくなりました。我々から見れば、「開発の芽を摘んでしまう条例改正はいかがなものか」といった具合です。
 ただ、根本的な問題意識は別のところにあります。つまり、福岡の都市力が弱まりつつあるのではないかという懸念です。都市に活力がみなぎるためには、マンパワーが欠かせません。やはり人口の増加は、都市力の最も大きな要素なのです。行政サイドには、人を生み出す施策・人を呼び込む施策を強く望んでいます。
 最近話題になった「子ども手当て」という政策がありますが、個人的な意見としては、もうひとひねり欲しいところです。夫婦から2人の子が産まれなければ、人口は減っていきます。子ども手当ては2人目から支給し、3人目からは大幅に増額するというようなかたちが良いのではないでしょうか。もちろん、子どもを持てない背景には若い夫婦を襲う多くの不安があるのでしょうから、政局の安定を望みますし、雇用や経済の安定のために内需を拡大させる政策が必要です。
 住宅産業は典型的な内需産業ですので、我々自身が果たすべき役割も大きなものであると感じています。
 ―人を呼び込む施策として、都市計画の重要性を訴える声が挙がっています。
 諸藤 都市計画の本来あるべき姿とは、先に適切な計画に基づいて社会資本であるインフラを整備し、そこに人や企業を呼び込んでいくものだと思います。土地を確保して造成しても、交通手段がなければ人は来ません。人工島は作ったが、自家用車かバスしか交通手段が無いのでは、人は集まらないのです。地下鉄が通り、しかもそれが環状線だったらどんなに便利でしょうか。
 地方自治体の財政の問題があることは承知していますが、中途半端なインフラ整備ではそれすらも活かすことができなくなってしまうでしょう。計画段階から利用者目線で精査し、決まったあとは徹底してやりぬく姿勢が大切だと思います。

<横断的に動き出す建設・不動産業界>

  ―「住宅政策に協力」し「社会福祉の増進に寄与」することが、九住協の団体理念です。理念を具現化するためには。

 諸藤 福岡は「九州の中核都市」であり「東アジアへの玄関口」です。しかし、その位置づけが都市計画や街づくり、住環境づくりに活かされているかというと、不十分さが否めません。行政サイドもさまざまな意見の吸い上げに苦心しているようです。
 そこで、九住協と福岡県宅地建物取引業協会、福岡県建設業協会が足並みを揃え、福岡市と街づくりに関して意見交換ミーティングを行なうことになりました。地域経済を実態面で支える団体が連携して動き出す初めての試みです。我々がこれまで培ってきたノウハウと実績が、九州・福岡の活気ある街づくりに活かせればと思います。ひいては、それが建設・不動産業の復権にも繋がるのではないでしょうか。

 ―地域経済の浮揚と業界の地位向上を願う団体は多くありますし、賛同する団体も増えてくると思います。各団体に望むことは。

(社)九州住宅建設産業協会 理事長 (株)コーセーアールイー 代表取締役 諸藤 敏一 氏 諸藤 我々も含め、自らの団体の存在意義を見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか。とくに、建設・不動産業は構造的に斜陽産業になりつつあります。自ら求めるもののためには具体的に何をしなければならないのか、危機感を持って具体的な行動で取り組まなければ存在意義自体を否定されかねません。経済の枠組みが大きく変わろうとしている今だからこそ、各々の団体が自発的に考え、積極的に動きだす必要があるのではないでしょうか。
 今回の取り組みの先に、我々は『福岡市200万人都市構想』を掲げています。活気あふれる福岡が日本を代表する5大都市のひとつとして認知されれば、必ずや新たな展望が開けてくるはずです。

*記事へのご意見はこちら