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2010年7月 5日
宮崎県建設業協会・永野会長「社会貢献にも尽力。費用対効果ですべてを判断するなかれ」(後)

 

宮崎県建設業協会 会長 永野 征四郎 氏

 口蹄疫にゆれる宮崎県。未曾有の危機に際して建設業界は埋却作業の最前線に立ち、一日も早い復興のために汗を流している。(社)宮崎県建設業協会の永野征四郎会長に宮崎県の情勢、建設業界の状況を聞いた。

(聞き手:IB事業部リーダー緒方克美)

<政権交代後の宮崎>

 ――昨年、民主党政権が発足しました。政権交代によって宮崎県の建設業界に変化はありましたか。

永野 政権交代後、国からの公共事業は18.3%、県からの公共事業は9.6%削減されました。これは単純な金額の削減ではなく、ここからさらに実際発注される投資工事は、よくても6割程度なのです。1,000億円の投資が計上されていても、実際に発注されるのは600億程度、ということです。これだけの削減幅ですから今年度は非常に危惧しています。

 ――宮崎の建設業界は、それだけ公共事業に依存しているのでしょうか。

永野 宮崎市に来ていただいたら分かるとおり、新たなビルの建設などはほとんど行なわれておりません。10階建て、20階建てなどの大きなビルも分譲マンションも宮崎にはないのです。せいぜい5階、6階程度のビルがありますが、それも供給過多の状態です。県の経済状態は決して良いとは言えません。大都市ならばある程度の民需も期待できるでしょうが、宮崎では難しいのです。必然的に公共事業が重要になります。しかし、小泉政権以来、市場原理に基づく規制緩和がなされたり公共事業が削減されたりしました。これによって、県の経済力が全体的に削がれることになったのです。さらに口蹄疫の発生という状況です。ダブルパンチどころかトリプルパンチを食らうくらいの痛手を受けているところなのです。

 ――すると建設業界も縮小が進んでいるのですか。

永野 3年前の県建設業協会会員数は、870社でした。それが今や520社です。たった3年で4割も減ってしまうのは異常なことだと思います。

 ――企業が適正な数に落ち着くという論点もあるようですが、淘汰された企業の受け皿について政府は深く考えていないように思えます。

宮崎県建設会館永野 宮崎には農業や漁業などの第一次産業と観光くらいしかありません。新たな企業誘致もままならない状況です。では建設業を廃業して農業や漁業に転身できるか、というとそれはきわめて難しいと思います。農業は専門的な知識と経験、ブランド化などが必要ですから、誰でもできるというものではないからです。漁業も専門的な知識と経験が必要になり、誰でもできるものでもないのです。かといって他に仕事があるわけではありません。宮崎県は建設業の新分野への参入のための資金として3,500万円を用意してくれました。正業として新たな仕事をしなさい、というのではなく、建設業以外の分野を開拓して雇用の確保に努めなさい、というものです。しかしながら、3,500万円程度ですから、なぐさめにしかならないのが現実です。雇用を創出したくてもできない現状があるのです。公共事業が今の調子で削減され続けるならば、失業問題が表面化していくと思います。技術の水準低下、社員の高齢化も問題になりつつあります。

 ――公共事業削減は大きな問題に発展するのですね。

永野 大都市と違い、宮崎には余裕がないのです。必要のない建物をつくってくれ、と言っているのではありません。道路の整備など社会の基本インフラまで削らないでほしいだけです。私たちは市民生活の安心安全を守っているという自負があります。一定以上の品質を保つためには費用対効果では図れない部分があると思います。

 ――本日はご多忙のなか、ありがとうございました。

(了)

【文責・柳 茂嘉】


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