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2010年8月 5日
(株)ニシケン~戦後の日本経済を支えてきた建設業界復活のために必要なこと

 

(株)ニシケン 代表取締役社長 水田 明義 氏(株)ニシケン 代表取締役社長 水田 明義 氏

 建設業は多くの問題を抱えている。しかし、それは裏を返せば、これまで策を講じなかった国交省の問題でもあるし、実態をよく知らないまま負の側面を伝えるマスコミの問題でもある。2010年に創立50周年を迎えた(株)ニシケンは長年、建設機械や仮設資材のレンタルで建設業界の発展を支えてきた。そんな同社の代表取締役社長・水田明義氏に、建設業界の現状に対する意見を聞いた。

<正しい業界の姿を伝えるべき>

 ―私は建設業の実際の姿というのが、世間に正しく伝わっていないと感じています。建設に関わる立場として、水田社長が何か感じられていることはありますか。

 水田 戦後60年という戦後復興の時代において、国の基盤をつくり続けてきたという点で、建設業は大きな貢献をしてきました。高速道路無料化とか値段を1,000円に下げるとか、いろいろなことが言われていますが、これも道路があるからこそできる議論なのです。道路があって初めて、皆さんはいろいろな観光地やレジャーに車で行くことができます。
 そうした良い面があることも外に打ち出さずに、今度の政権交代によって民主党から出てきたものは、建設業界が日本のガンのようなかたちで表した「コンクリートから人へ」というスローガンでした。あのような言葉を使うこと自体、私は問題だと思います。
 これからはもっと、建設業界が何をやるべきか具体的なものを提示して、今までの日本経済への貢献に感謝の意を込めなければダメだと思います。国民が皆、マスコミに惑わされて何か人の言葉についていくような状態になっており、非常に芯がない感じを受けますし、ただ表面だけで動いている気がします。

 ―公共工事というだけで悪いイメージを持たれます。本当は、建設業者は公共物をつくることに対して誇りを持って良いと思いますが、それが非常にネガティブに報じられています。

 水田 公共工事といったら建設業者、そしてこれをガンとか、税金を食いつぶしているとか、談合は悪だとか言われます。しかし、談合も日本の共存共栄の良い面だと思います。そんなに利益を得ているわけではないでしょう。皆が価格を究極まで下げて、つくりあげています。それよりも、これから先、建設業界をもっとこういう風に変えていこうではないかと、皆が一緒になって進んでいかなければならないと思います。
 当社では「現地・現場主義」を重視していますが、やはり机上の空論ではなくて、現地・現場を知り、建設業の実態というものを皆さんにきちんと伝えないといけません。高速道路ひとつにしても、表面のことだけいくらつっこんでも仕方ありません。逆に、利用価値を増やしていけばいいわけです。
 
<医療観光がひとつの指標に>

 ―日本経済の立て直しのためには何をすべきだとお考えですか。

 水田 「経済成長は人口に比例する」と申します。これからは、人口が減少していくのはすでに分かっているわけですから、これだけの道路網があるならば、もっと海外から人を集めて観光を活かしていくなどといったことを考えていくべきです。日本の緑の豊かさ、水のきれいさ、そうしたものを活かしたすばらしい観光地はたくさんあります。それに伴って、日本の産業も良くなってくると思います。そう考えると、観光地の整備やさまざまなインフラ整備が伴ってくるでしょう。そこで建設の仕事がどんどん出てくるわけです。
 今までの時代の流れを見ると、戦後はゼロに等しかったところに新しいものができてきた。それがある程度終わると、橋にしても公共施設にしてもライフサイクルが非常に長いため、そうした事業が減っていくのは分かります。しかし、それをつくったことが無駄ではなくて、それを活かす方向、すなわち、観光、文学、医療さらに地域社会との融合。これからは、地域社会が共存共栄することが大切ではないでしょうか。

 ―どこかお手本になるようなところはありますか。

 水田 今、世界のなかでもタイがもっとも医療観光を進めていますが、日本でも医学については非常にすばらしい技術があります。たとえば観光を融合するとか、医学はこれ、建設はこれと分けずに一緒に街づくりに取り組み、この島国の良さを活かせば、日本はとてもすばらしい国になるのではないかと思います。そうすることで、建設業の仕事はもっと生まれてくるでしょう。
 ですから、人口減少とか高齢化社会とか言うならば、もっとそれを上手く利用して、海外から人を惹きつけるような方法を考えていくべきです。

<農業や福祉を手掛けるきっかけ>

 ―そうなると、やはり日本経済発展のためにある程度の公共投資は必要になってくると思います。

 水田 ところが、公共投資を何か悪者のような扱いをしてしまっています。はやくやめないと損ですよということで、1992年には84兆円あった建設投資額が、今は40兆くらいにまで減り、これからも下がっていくだろうと思います。私は何かをつくることは大切なことだと思います。問題はそれの活かし方です。だから、つくったものを無駄にせず、活かす方向に考えていければ、無限のものがあると思います。
 日本は海外へ働きに出なければダメだというのではなく、この日本という国を守っていかなければなりません。すでに海外から資源を買われるということも起こっていますが、資源を売るだけではなく、資源をもっと活用すればいろいろなかたちの雇用を創出できると思います。

 ―御社のもともとのメイン事業は建設機械リースでしたが、最近では農業や福祉など幅広く手掛けられています。そのきっかけは。

 水田 たとえば、長野県は全国で医療費が一番安く高齢者の就業率が一番高い、反対に福岡県は医療費が一番高く高齢者の就業率は一番低い、と言われています。そうした状況を見ているうちに、高齢者の方たちも働き甲斐があることで健康になっていくのだと考えました。そうした場所をつくる一環として、「NK式植物工場 アコルくんのすいさい園」をつくって無農薬野菜「ベジクイーン」の生産を始めました。ここでは高齢者を積極的に雇用しています。
 建設機械や仮設資材のレンタルからスタートした当社は、今では福祉用具や介護用品で少子高齢化に対応し、環境商品で地球環境維持に取り組み、無農薬野菜の水耕栽培で人々の食の安全を支えることができる体制を構築しています。
 私はまだまだ内需はたくさんあると思います。それは建設業界でもしかりです。しかし、これからは環境や福祉、観光などを総合的に考えたうえで、業界発展を考えていく必要があるでしょう。

(株)ニシケン本社社屋[COMPANY INFORMATION]
(株)ニシケン
所在地:福岡県久留米市宮ノ陣町若松1-9
設 立:1960年11月
資本金:8億5,738万円
TEL:0942-35-5840
URL:http://www.r-nishiken.co.jp/


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