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2011年3月29日
独禁法、価格カルテル、談合...規制強化の先に見えるものとは(上)

 

公正取引委員会事務総局 九州事務所長 大塚 誠司 氏

 年々増加している独占禁止法および下請法違反事件。制定より50年以上の歴史を持つ法律だが、時代に合わせて幾度となく法改正による規制強化が行なわれてきた。にもかかわらず、なぜ違反が増えるのか。公正取引委員会事務総局九州事務所長の大塚誠司氏に話をうかがった。

(聞き手:IB事業部リーダー 緒方 克美)

<公正取引委員会の役割>

 ―九州事務所では主にどのような業務を担当されていますか。

公正取引委員会事務総局 九州事務所長 大塚 誠司 氏 大塚 九州事務所は現在25名所属しており、それぞれ下請や審査といった課に分かれ、九州を管轄区域として独占禁止法および下請法の運用を行なっています。違反事件の処理、未然防止対策が主な業務となっています。また沖縄については、歴史的経緯で九州事務所ではなく、沖縄県単独で沖縄総合事務局の公正取引室において同様の業務を行なっています。近年の沖縄における大規模談合事件は、関係者も多く東京の本局を始めとした調査体制をとりました。

 ―今年1月に九州事務所長に就任されたそうですが、九州ならではの特色というものは感じましたか。

 大塚 九州に来る前は北海道にいましたが、どちらも比較的農業分野の事案が目立ちます。ただ、公正取引委員会としての業務は地区によって変わるわけではないため、大きな違いはありません。

 ―近況について教えてください。

 大塚 まず、近年の独占禁止法違反事件の処理状況についてですが、違反事件が年間20~30件あり、1件の処理が数カ月からなかには1年を超えるものもあります。それは、相手方が話しにくいことを聞くために時間がかかるためです。また、談合や価格カルテルによる課徴金の納付命令件数・金額ともに年々増えてきています。要因として、大型の価格カルテル事件が増えてきていることと、課徴金制度が強化され制裁のレベルが上がってきていることが挙げられます。大企業のメーカーだと違反期間中の売上の10%、10年以内に違反行為を繰り返した企業については課徴金がさらに5割増しになります。
 独占禁止法に基づいて、違反企業には課徴金納付命令をはじめとして、排除措置命令、刑事告発など厳正・的確な法執行を行なっております。建設業の事例として、鹿児島県発注の海上工事において入札談合が行なわれ、2010年11月に排除措置命令が出されました。違反行為としては上記以外に優越的地位の濫用や不当廉売などが挙げられます。建設業では不当廉売で警告を受けた企業も過去にいます。
 下請法に関して建設工事は対象外で、製造業やサービス業等が対象となっていますが、申告を待っても取引を心配して情報が出てこないため、定期的に書面調査を行ない、問題を見つけ指導しています。

 ―建設工事が下請法の対象外になっている理由は。

 大塚 建設業法にほぼ同じ規定があります。下請法の対象は先ほど申した業種ですが、建設工事の設計図の作成を委託する場合など、部分的に建設業が対象になることもあります。

独占禁止法に基づく厳正・的確な法執行

(つづく)

【文・構成:杉元 敦】


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