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2011年4月19日
真の安心・安全とは 大震災で得た教訓(2)

 

九州大学 大学院工学研究院 建設デザイン部門 教授 大塚 久哲 氏

 1カ月前に東日本を襲った、未曾有の大地震と大津波。今なおその爪痕は生々しく残っている。これまで行なわれてきた防災の意味、今回のことを教訓に私たちが取り組むべき防災の姿とは―。九州大学大学院工学研究院の大塚久哲教授に話をうかがった。

<防災に必要な取り組み>

 ―耐震化の必要性については、どうお考えですか。

九州大学 大学院工学研究院 建設デザイン部門 教授 大塚 久哲 氏 大塚 福岡では小学校を始め、耐震化が進められています。これに関しては早く100%になるように頑張ればいいと思います。戸建住宅に関しては、全体を耐震化するのには多大なお金がかかるため、一部屋でも筋交いを入れるなどして、耐震化した部屋を作ることで、いざというときのために備えることができると思います。
 また、水道管の耐震化は効果的な対策だと思います。西方沖地震の際、耐震化された水道管はほとんど被害を受けていません。しかしながら全市的に見ると、福岡はまだ水道管の耐震化はあまり進んでいないので、耐震化率を上げることが重要です。

 ―福岡にも、危険な建物はたくさんあります。

 大塚 地震に弱い建物が大きな道路に面していくつもあります。結局は私有財産であるので法的な拘束力をもって、というわけにはいきません。
 私自身、福岡県西方沖地震直後はいろいろなところで防災についての講演をしましたが、それを聞いて実際に行動に移す方はごく一部だと思います。大半の方は、話を聞いたときは不安を感じるようですが、費用面などからそのまま放っておく傾向にあります。時間が経つと、そういった危機感が風化してしまうのでしょう。

 ―福岡に津波が襲ってくる可能性は。

 大塚 まったくないわけではありません。ただ、福岡は島があるため波を防いでくれますし、過度の心配は必要ないと思います。西方沖地震の際は、初め津波警報が出ましたが、横ずれ断層だと判明し、警報はすぐに取り消されました。しかし、九州全体で見ると津波の被害を受けるところは出てくると思うので、九州一丸となって対策に取り組むべきでしょう。
 津波の心配より、福岡に関してはほかに問題があります。先般の地震でもあったように、埋立地には液状化の問題があり、福岡には人工島を始めとした埋立地が多数あります。たとえ、しっかりと耐震化のなされた建物であっても、地盤が沈下してしまうと水道に支障が出るなど、不自由な生活が強いられることになるでしょう。

(つづく)

【楢﨑 賢治、杉元 敦】

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<プロフィール>
大塚 久哲大塚 久哲(おおつか・ひさのり)
1971年九州大学工学部卒業。76年同大学大学院工学研究科博士課程修了。同大学助手、助教授などを経て現在九州大学大学院工学研究院教授。著書に「基礎弾塑性力学」「実践耐震工学」(共立出版)などがある。


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