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2011年4月20日
真の安心・安全とは 大震災で得た教訓(3)

 

九州大学 大学院工学研究院 建設デザイン部門 教授 大塚 久哲 氏

 1カ月前に東日本を襲った、未曾有の大地震と大津波。今なおその爪痕は生々しく残っている。これまで行なわれてきた防災の意味、今回のことを教訓に私たちが取り組むべき防災の姿とは―。九州大学大学院工学研究院の大塚久哲教授に話をうかがった。

<我々が準備すべきこと>

 ―自治体や我々国民が準備しておくべきことは、何でしょうか。

今年3月に発売された大塚教授編著の「地震防災学」 大塚 まず、自治体については、被害想定をしっかりしておくべきだと思います。福岡の場合は、2006年の西方沖地震の教訓がありますが、内陸部で警固断層が動いたときの想定に基づいた防災対策が必要かもしれません。
 次に、住民としての心構えとしては、細かいことになりますが、家具などの転倒防止や食器の散乱防止、水・防災グッズなどの備蓄などが挙げられると思います。同じマンションに住んでいても、避難所に行かねばならない人と、そのままマンションに住み続けることが可能な住民とに分かれます。住み方、日頃の危機管理によるので、本人の自覚次第となります。東京から転勤してきた、あるいは阪神大震災を経験した方々は対策をしっかりやっている傾向にあります。
 また、企業の防災対策として、BCP(事業継続計画)というものがあります。これは、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した場合に、事業資産の損害を最小限にとどめて、事業の継続や早期復旧を可能にするための計画です。大企業では浸透していますが、多くの中小企業では取り組まれていません。今度の東日本大震災でも明暗を分けているようです。

 ―地震を含めた、災害に関する知識を身に付けておくことが必要ですね。

 大塚 世界の地震の約1割は日本で発生しています。阪神・淡路大震災以降、日本はさまざまなかたちで震災対策を行なっていますが、まだ十分ではないと思われます。海沿いは津波被害が心配され、造成地などは地盤が軟弱です。また、急な傾斜地は斜面崩壊の危険性があります。こういった身近の自然環境についての知識も、地震被害から身を守るために必要なことだと思います。そして、いざ地震が発生したとき、自分自身の命をどうやって守ればよいのか―その方法を日常生活のなかで具体的に考えておく必要があると思います。

 ―本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

(了)

【楢﨑 賢治、杉元 敦】

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<プロフィール>
大塚 久哲大塚 久哲(おおつか・ひさのり)
1971年九州大学工学部卒業。76年同大学大学院工学研究科博士課程修了。同大学助手、助教授などを経て現在九州大学大学院工学研究院教授。著書に「基礎弾塑性力学」「実践耐震工学」(共立出版)などがある。


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