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2011年4月26日
身近に迫る危機 耐震を通して身を守る(2)~(社)福岡市耐震推進協議会・白水 秀一会長

 

 東日本大震災からはや1カ月が経過した。ここ遠く離れた福岡においても、予期せぬ自然災害に備え、緊張感が高まっている様子がうかがえる。そのなかで、最優先に考えるべきことは被害が起きてからどう生活をするかではなく、被害をどう最小限にとどめるかということである。いざ、地震が起きてからでは遅い。その前に我々ができる準備とは何か。(株)住環境工房らしんばん代表取締役で(社)福岡市耐震推進協議会会長の白水秀一氏に、住宅の耐震問題についてうかがった。

<2社体制でくまなくチェック>

 ―耐震診断の方法、その後の流れを教えてください。

耐震審査の様子 白水 当協議会の会員は5社((株)住環境工房らしんばん、(株)ダイニチ、(株)マリナホーム、(株)藤建設、清興建設(株))ですが、基本的にメインとサブの2社でチームを組んで耐震診断の依頼があったお宅に訪問します。2社で行く理由は、メインが行なった診断に対して見落としがないかなどのチェック機能を持たせることと、より精度の高い診断をすることにあります。診断をして、後日、診断の結果報告と耐震補強工事の計画書、併せて見積りを依頼者にお渡しします。1件あたりは3,000円です。
 補強工事については、強要、強制するようなものではありません。ただ、福岡市として15年までに耐震化率を90%、また、国としても、20年までに95%という目標がありますので、行政としては耐震診断だけでなく、その後の工事に繋がってほしいという思いはあるでしょう。現実問題として、耐震診断後に補強工事を行なうのは2割程度です。

 ―耐震診断ではどの部分を重点的に調べるのでしょうか。とくに留意している点について教えてください。

 白水 大きなポイントが3つあります。1つ目は、地震の揺れに踏ん張るための壁の量です。床から天井まで繋がった壁と、窓のある壁とがありますが、窓があるうえの壁は踏ん張りが効きません。床から天井に繋がった壁が東西方向、南北方向に決められた基準で足りているか否かが重要になります。「壁の量の充足率」と言えばわかりやすいでしょう。つまり、窓だらけの家は耐震に問題があると言えます。
 2つ目は、壁のバランスや配置です。単純に壁が多い家の方が強く、窓だらけの家は弱い。また、壁がどこか一部分に集中しても、建物は変形しやすくなるので、壁が少ない部分に壁を補わなければなりません。窓を潰して壁を増やす方法や、耐震ボードを張って弱い壁を補強する方法などがあります。東西南北にバランス良く、踏ん張ることができる壁が配置されているかが、ポイントになります。
 3つ目は、老朽度・劣化度です。これは新築を評価するときにはない評価軸です。たとえば、築30年以上の建物であれば、その間にどれだけ劣化をしたか。壁や基礎にひび割れがないか、シロアリの被害にあっていないかなどを調べます。
 これらのポイントに留意して診断を行ない、点数を付けます。点数が「1.0」をクリアしていれば、基準に合致している。補強の心配はないということです。逆に、「1.0」に達しない建物に関しては、先ほども申しましたように、耐震補強の計画書を依頼者にお渡しするようにしています。

 ―耐震補強工事を行なうと、リスクはどれくらい軽減されるものですか。

 白水 一概には言えませんが、「1.0」という点数は震度7の大地震がきても、倒壊の恐れがないという目安の数値です。ひびが入る程度のことはあるかと思いますが、家の下敷きになって命を落とすというリスクは低くなります。ですが、同時に家具の固定など最低限の対策は個々でやっておく必要があります。依頼される方の多くは、その点の意識が高い方が多いので、最低限の対策は行なっている傾向にあります。

(つづく)

【楢﨑 賢治】

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