ネットアイビーニュース

2012年4月 3日
急がれる建設業の社会保険加入(前)

 

<急増するワンコイン大工 >
 総務省統計局が公表している最新の労働力調査(2012年1月)によると、建設産業で働く労働者の数は496万人で、ピーク時の約73%にまで減少。建築技術の継承を危ぶむ声が上っている。
 入札制度の総合評価方式について建築のゼネコン業者を取材しているときに、「ワンコイン大工」という言葉を耳にした。ワンコイン大工とは、請け負う1m2あたりの単価が500円、つまりワンコインで請け負う大工のことである。これでは、30日休まず働いたとしても15万円。時給に換算したらコンビニのバイトよりも安い。長く型枠大工を生業としてきたベテランの方によると以前は、1㎡辺りを請け負えば、3,000円近くもらえていたという。今では、極端なところではたったの500円。おまけに社会保険には未加入。これでは、若い世代が建設業に就職したがらないのは無理もないだろう。
建設業 イメージ 建設業は、「日雇い」のイメージが強いが、製造業など他の業種と異なり、日給月給制が多い。日給月給制では、給与の計算は1日単位で行ない、支払いは1カ月単位となるため、実態は日給制と変わらない。日雇いの性質を維持しながら給与の支払いを遅らせることも可能であり、かねてから問題視されてきた。営業社員や技術者は直用で保険にも加入しているケースがほとんどだが、職人は必ずしもそうではない。
 ゼネコンも発注者も、建設業で働く職人たちの善意に甘えてきたところがある。この数年で、あまりに安い賃金に対して割りに合わないと、職人の多くが見切りをつけて去っていった。
 建設業においては、賃金の安さに加え、建設労働者の社会保険未加入問題が長年の懸案事項である。このことが「建設業は不安定な職種である」というマイナスイメージを植えつけ、若者の建設産業への就業意欲を削ぐ結果になってきた。厚生労働省の雇用動向調査によると、1992年度は建設業への24歳以下の若年入職者は25万人いたが、08年には5万3,000人と5分の1に減少している。これは若年入職者だけでなく、全年齢層でも減少傾向にある。
 これは「怪我と弁当は自分持ち」と言われる、ゼネコンを頂点とした重層下請構造であるがゆえに生じている。もちろん国もこの不健全な状況に対し、手をこまねいて見ているばかりではない。

(つづく)
 
【近藤 将勝】
      | (後) ≫