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2012年6月 4日
総合評価方式での地域貢献は業者の点数稼ぎか

 

k_img.jpg 「I・B」2月20日号の「入札制度の現状と課題」で取り上げた総合評価方式の中身について建設業者や業界団体の間で議論がなされている。

 なかでも弊誌でも問題視した社会・地域貢献が建設業者の点数稼ぎに過ぎないという批判の声があがっている。地域に貢献するという趣旨自体は、建設業は3K(きつい・汚い・危険)産業で、談合などで税金をむしりとる悪の巣窟というマイナスイメージから脱却することが目的であり、誰も異論はあるまい。

 総合評価方式は、全国47都道府県と政令市全てで導入されており、各市区町村でも導入する自治体が年々増えている。

 もともと、建設業の正常化の一環として導入されたものだ。スーパーゼネコンによる談合など不祥事が相次いだ2005年以降、一般競争入札が全国に拡大。その反面、落札価格が急落し、低価格競争が行なわれるなかで、工事の品質管理が不安視されたことが導入のきっかけとなった。総合評価の特徴は、価格だけで判断しないということである。

 施工実績や技術者の能力などに加え、企業としての社会・地位貢献度も見ていこうという話だが、福岡市においては、障がい者雇用やISO14001(環境評価)、エコアクション21、次世代育成認証取得を評価対象としている。これらは、企業にとっては負担だという声もある。

 最近では、建設業者も積極的にホームページやブログ、ツイッターを活用し情報発信と営業活動を行なうところが増えてきたが、地域貢献活動として、業者の所在地や工事現場付近の地域を清掃するなどし、ネット上で紹介している業者も結構見られる。そのこと自体は、問題ないのだが、なかには地域の清掃ボランティアに参加し、発注者向けと自社宣伝用の撮影を行なうと、さっさと引き上げてしまう業者もあると聞く。これでは本来の趣旨からはほど遠い。所詮業者の点数稼ぎのためではないかという指摘も頷ける。ある土木工事業者に話を聞いてみると「時代の流れだとは思うが、お役所に評価してもらうためのものにすぎないのではないか」との指摘もあった。別の業者は、「建設業は、公共の仕事を請け負えるかが大きい。売上を左右することを逆手に取って、締め付けを強化されたらたまらない」と本音を打ち明ける。

 地域の清掃にしても、次世代育成にしても、企業の社会的責任を果たすためのもので、役所の歓心を得るためではなく主体的に取り組むべきことだ。

 国土交通省もこの面を反省し、「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」の精神に立ち返り、工事の品質確保に無関係な項目を評価対象から外す方針を打ち出している。言うまでもなく、公共工事の真の発注者、エンドユーザーは国民である。たとえ、一般市民に知られない地味な取り組みであっても、建設業者の役割を正当に評価されるかどうかは、個々の業者の情熱と行動にかかっている。

【近藤 将勝】


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