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2012年7月26日
落札価格を適正化し仕事に誇りを持てる環境を~九州鉄筋工事業団体連合会

 

九州鉄筋工事業団体連合会 会長 平本 貢 氏

 東日本大震災をきっかけに、日本の建築技術の高さが再評価され、同時に公共インフラ整備がいかに重要なのか理解されたと思います。しかし、それらを支える鉄筋技術の工事業者は厳しい経営状況におかれています。国が建設業の社会保険未加入に対して、建設業者許可の取り消しも含めた対応を進めていますが、単価安によって社会保険料の負担まで手が届かない状況にあるからです。

 私たちの団体は九州各県の鉄筋工事業者で構成していますが、社団法人全国鉄筋工事業協会と建設産業専門団体九州地区連合会(九州建専連)と連携して、鉄筋工事業に関する課題や問題点について、国土交通省や同省九州地方整備局との意見交換会を行ない、要望しています。

 建設業のなかでも専門工事業は、ゼネコンからの下請企業が殆どです。原価の70%程度が組立てのための労務費です。技能資格や経験があれば、独立や開業が可能ですが、その一方、加工・組立てが必要な業態であるため、加工のための機械設備や加工場の広い面積確保と運営資金が必要で、躯体関係業種のなかでも特殊な面があります。もともと建設業は労働条件が厳しいところがあります。若い人たちが建設業で働きたいと思う環境づくりには、他産業並みの給与と待遇が必要だと思いますが、見積書における安全管理費や社会保険料は別枠支給を行なっていただけないと、現状の鉄筋工事の受注単価では社会保険料にまで手が回らないのが現実です。また専門工事業は職人数が技術力につながっており、技術者を安易に減らすわけにもいかないジレンマもあります。企業側としては、コストをかけて技術の承継や人材教育を行なっているところほど儲からないといっても過言ではありません。

 この業界環境を改善する方法として2つ要望したいと思います。1つは、元請企業による落札価格の適正化の要望です。本来の適正価格は予定価格のはずですが、現実は、それ以下の安い金額で受注せざるをえないのです。もちろん競争である以上は、安値での落札は当然ですが、適正価格で見積した額を大幅に下回る額で受注することは結果的に安全面での懸念が生じます。もう1つは複数メーカーの混合使用に関するものです。混合使用は禁じられていませんが、JISマーク規格の認定を受けた同タイプの異形棒鋼にもかかわらず鋼材検査証明書のミルシートの添付が義務付けられています。事業者にとっては、限られたストックヤードのなかでメーカーごとの鉄筋を分別してストックすることが困難なケースもあるため、ミルシートの改善もしくは撤廃を要望しています。

※この記事は平本会長のインタビューを元に再構成したものです。

【近藤 将勝】


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