ネットアイビーニュース

2012年9月26日
顧客との信頼重視、熱意と行動で攻めの営業を展開(前)~上村建設(株)

 

 福岡県トップの地場ゼネコンである上村建設(株)。50年を超える業歴を有し、官民様々な工事を手がけ、地場の総合建設業の筆頭として知名度を有する。業界環境の厳しさの中で毎期売上高200億円前後を計上し、収益面でも極めて高い水準を誇る。商業施設や、幼稚園や大学といった教育施設、医療施設などの建設工事の豊富な実績に加え、資産運用型マンション「ステラ」等の賃貸マンションの提案型営業に力を入れており、顧客からの評価も高い。建設業界全体が苦戦を強いられるなか、同社の強さはどこから来るものなのか――。

<企業提案型の営業でニーズに対応>
0926_uemura.jpg 上村建設(株)は1959年に産声をあげた。親族の営む建設会社で経験を積んだ現代表の父が1950年、独立創業したことに始まる。59年2月に有限会社に法人改組し、61年3月に株式会社に変更された。それから同社は、炭鉱や農協関連の建築を軸に業績を伸ばし、発展してきた。現在、福岡県におけるゼネコントップとしての地位を持つ同社だが、その発展のキーワードは「ストックビジネス」である。従来、建設業者は、典型的な受注産業であり、完工高ベースにその業績を競い合ってきた。ところがバブル崩壊以降、建設投資の縮小を受けて、請負工事の出来高だけでは経営が維持できない時代が到来したのである。

 同社は、アパートを受注して完成させ、施主に物件を引き渡して終わるのではなく80年代という早くから、マンション管理まで手がけるストック型のビジネススタイルを確立。逆転の発想で請負型から管理による安定した収益確保を実現してきた。

 同社は、JAグループに加盟する農業兼地主である組合員を中心に地主への提案型営業で受注基盤を確立してきたことで知られる。長年の経験と実績で蓄積した顧客情報を活用し、ニーズにあった提案を行なってきた。土地所有者の世代交代が進んでいるが、70歳以上の第一世代から、40歳台の第三世代へと世代交代が進んでいる。第三世代は、長期にわたって続く不況を反映し、お金を借りて運営するリスクに敏感だ。また、その時代にあった好みや要望が増えてきているが、近年、同社が展開している高利回り賃貸マンション「ステラ」シリーズは派生シリーズを含めコストも抑えられ、かつ品質がよいと評価が高い。

 「ステラ」シリーズの特徴は、小ロットのマンションであることだ。最近は、従来の3階建てだけではなく、エレベータ付きの4階建て、5階建ての「ステラev」や耐久性の高い「ステラ21 Neo」などが同社の主力商品となっている。同社の業績が全体的な建設業の落ち込みに反して好調なのは、同シリーズが牽引しているからである。これまでの建設業は、施主からの依頼を受けて動き出すという受け身のスタイルが一般的だった。

 「待っていてもしょうがない。今ある経営資源の中で、何をしていくか。動きながら模索しつかんでいかなければならない」と上村社長は語るが、工事施工だけではなく、管理まで自社グループ内で行なうことができ、企画提案型の攻めの営業を展開してきた実績に裏付けられた自信の表れでもある。

 同業他社も同様の企画型マンションを展開しているが、請負型が主流の時代から先んじてストックを生かしたビジネスモデルを構築してきた同社の地位は確固たるものがある。同社は、賃貸マンション以外にも、大学施設や大型商業施設など手がける範囲は広いが、今後も賃貸マンションを軸にした構成になることは間違いないだろう。若干の売上高の減少こそあるものの、実質無借金の財務内容と建設業界の低迷という逆風のなかでも、200億円前後の売上高を維持し続けることは、容易なことではない。創業時から一貫して自社受注、自社施工にこだわり、関連会社で施工物件の賃貸管理を行なうことで、顧客を取りこぼすことなくその時々のニーズに対応することを可能とした。賃貸物件管理をしている関連会社のハッピーハウス(株)は、管理のみの物件を含めて管理世帯数は23,692戸に達しているという。これは福岡県では九州トップの三好不動産に次ぐ規模だ。これだけの物件を管理すれば、膨大な情報が蓄積される。

(つづく)
【近藤 将勝】

| (中) ≫

<COMPANY INFORMATION>
■上村建設(株)
代 表:上村 秀敏
所在地:福岡市博多区住吉4-3-2
設 立:1959年2月
資本金:1億円
事業内容:総合建設
売上高:(11/10)177億5,795万円


*記事へのご意見はこちら