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2012年9月28日
顧客との信頼重視、熱意と行動で攻めの営業を展開(後)~上村建設(株)

 

<先手を打った経営戦略 さらなる成長を遂げられるか>
uemura.jpg 公共工事依存の強かった建設業界にあって、上村建設は先んじてマンション管理まで手がけるストックビジネスを展開してきたが、現在も幅広い視野を持ちながら、情報を収集し、時代の変化に対応した先手の策を打ち出している。

 建設業の縮小のなかで生き残りの策を示せない業者は、淘汰されていくが、倒産しても新規の参入が依然として見られ、業者数はほとんど変わらない。建設業のもつ公共性から保護政策がとられてきた結果ではあるが、需要と供給のアンバランスな状況が生じてきた。

 業者数は変わらず、肝心な、そこで働く若い職人、建設技術者は不足するという新たな問題が惹起している。職人の世界は「匠」の世界である。熟練した大工や左官の数が減少しているが、施工力が落ちれば建物自体の品質が低下しかねない危機感がある。ベテランの技能労働者の養成は一朝一夕にはできないものだが、協力企業として同社の施工を担っている業者については、リスクへッジをしており、職人不足の問題は起きていない。その一方で、「おんぶにだっこではいけない」(上村社長の談)と常日頃から社員に言い聞かせているとも言う。入職者の動向から、現在の職人数の激減はある程度予想できたことだが、同社において職人不足が生じていないのは敏感にそのことを察知し、対応を講じてきたからである。

 企業経営を進めるにあたっては、長期的な視野が不可欠であるが、日常の経営活動にもそのことは反映されている。建設業においては一つの物件のプロジェクトが長期に及ぶことが少なくないが、将来性などを調査し、綿密な計画を持って受注から完工までを考えなければ、1期の数字は見えてこない。同社は10月決算であるが、年が明けたときには次期の仕事の仕込みにかかるという。長期的視点に立脚しながら、半年単位での施工の流れを意識した動きをする。これが、受注確保に苦悩する業界のなかで、屈指の業績を続けるための同社の戦略である。

 同社の最新決算である2011年10月期の売上高は、177億5,795万円となった。2期連続で例年の水準であった200億円を割り込んだとはいえ、粗利時点で14%弱、最終利益時点で3%強を残しており、収益性の高さは同業の中で突出したものとなっており、近年の業績のなかでも高水準の数値を残している。2期にわたる収益好調は、リーマン・ショック前のミニバブル期に受注した工事が計上された時期にあることと、「ステラ」シリーズの販売状況の好調が挙げられる。同社の堅実な経営は一貫継続しており、今後も大きな路線転換はないという。

 次期である12年10月期は3期ぶりに売上高200億を達成する見込みである。業界環境の厳しさを受けても高業績を上げ続けられるのは、経営活動、事業展開のスタンスに大きなぶれがないためだ。設立から50余年、地場に密着した建築サービスを提供し続けてきた同社。

 建設業界は、公共インフラの老朽化対応の中で、若干の上昇は見られるものの、他業種同様、可能な限りのコストカットを行ない、利益が望めない案件でも受注するという状況になっており、限られたパイの奪い合いが展開されている。

 今後は公共事業も、官庁から提示された案件を請け負う形からPPP、PFIといった民間のノウハウや資金を活用した事業へと大きく転換していく。同社は、民間元請ほぼ100%であるが、今後は民間資金やノウハウを活用した新たな公共事業への参入も進めていくという。

 大手を含めゼネコンの多くが厳しい状況に置かれる中、福岡地区トップのゼネコンとしての地位を今後も守り続けられるか、注目したい。

(了)
【近藤 将勝】

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<COMPANY INFORMATION>
■上村建設(株)
代 表:上村 秀敏
所在地:福岡市博多区住吉4-3-2
設 立:1959年2月
資本金:1億円
事業内容:総合建設
売上高:(11/10)177億5,795万円


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