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2014年1月22日
鉄筋工事業者の救世主となるか 鉄筋ジャバラユニット工法(後)~(有)柳井通商

 

 「職人が足りない」「納期に間に合わない」「足場が足りない」一気に市場の拡大した建設業界には、様々な問題が噴出している。今、そんな状況を一変させる画期的な鉄筋工事の工法が注目を集めている。それが「鉄筋ジャバラユニット工法」だ。開発したのは、福岡市中央区に本社を構える(有)柳井通商。同社代表の柳井泰三氏は鉄筋工事に30年以上携わった経験とノウハウを生かし、長年「鉄筋工事の工業化」を研究。特殊なゴムの結束線の開発に成功したことで新工法が完成した。業界の常識に一石を投じるこの工法について、柳井氏に聞いた。

<鉄筋ジャバラユニット工法の主なメリット>
1.生産性の向上
yanai1.jpg 「工業化」とは生産性を上げるためのもの。鉄筋工は通常、現場では1人1日500~600キロしか組めないというが、当工法では工場で作業を行なうことで2トンほどの組み上げが可能となった。高所や狭所など危険な場所での組み上げではないため、作業効率は上がるというわけだ。 
 さらに設置するのも、スピーディ。通常1台のレッカーに10人から15人の職人が携わるというが、この工法であれば、4人程度でも作業が可能だという。
 こんなエピソードがある。ある現場に鉄筋工が4人で向かった。当工法を知らなかった現場監督は「こんな人数じゃできるわけがない。ふざけるな」と怒鳴り散らしたらしい。しかし、夕方には余裕をもって、設計通り完成させた。「お見それしました」と現場監督。「ジャバラ」の効果に驚いたそうだ。

2.足場要らずで、作業も安全にコスト削減
 通常なら、足場を組んで高所で作業を行わなければならないが、この工法であれば工場で組み上げたものを釣り上げて広げるだけで施工は終了する。危険な場所での作業はないうえに、重量物の人力運搬も大幅に低減でき、高齢者や女性でも作業ができる。この点が認められ、2012年に建設業労働災害防止協会より、「労働災害の防止に大いに貢献した」として、顕彰状を受賞している。
また現場組立に必要な足場、鉄筋受架台、荷取ステージなどが、大幅に削減でき、コストを抑えることが可能となる。

3.工期の短縮
 当工法では、すでに組みあがったユニット部材を釣り上げて、広げるだけであるので、ほとんどの現場で通常の半分の工期で完成するという。躯体工事の工程が短縮できれば、トータルの工期も短くなり、ゼネコンにも大きなメリットが生まれる。

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<いまだ進化を続ける工法と技術>
(有)柳井通商 柳井泰三氏 現在、「ジャバラ」を導入している特約店は全国に23。勉強会として、全店参加の事例発表会を年2回行なう。その際には大学教授など研究機関の専門家を招聘し、アカデミックな知識と現場の情報を突き合わせる。そこで新たなアイデアが生まれ、さらに研究してもらい、結果をフィードバックしていく。これを「技術と情報のキャッチボール」と語る柳井氏。また常時、鉄筋職人から上がってきた要望を製品開発や工法改善に生かす。全国の特約店から現場写真と共に、改善につながる情報を集め、共有している。「鉄筋職人のレベルをワンランク上げたい」というのが柳井氏の想いだ。

 政権交代後の建設市場の拡大を受け、職人不足が顕著になり始めた一昨年から問い合わせが急増しているという。今後は今ある23の特約店を50店まで増やす予定だが、それ以上は拡大しないと決めている。同氏一人で対応できる企業数は50が限界だと考えているからだ。

(了)
【東城 洋平】

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▼関連リンク
・(有)柳井通商
・ジャバラユニット工法PR映像(YouTube)

【取材メモ】
 全国の鉄筋工事業者は厳しい経営状態にある。そんな状況下で、当工法を取り入れた同社の特約店は90%が黒字化したそうだ。特約店となった業者から聞かれるのは「光が見えた」「これがあれば、戦える」といったうれしい声。柳井氏の業界への想いが少しずつかたちになって、表れ始めた。特約店の残り枠は27である。


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