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2014年2月 5日
追い風吹く型枠大工業界、結束強め、挽回を図る(後)~福岡地区型枠工事業福友会・池之上和夫会長

 

 全国的に人手不足が叫ばれる建設業界。なかでも、建築物の躯体を司るとび・大工・鉄筋の職人不足は深刻の度合いを極め、関東地区では4割近い事業者から人手不足の声が挙がる。福岡地区の大工工事業者でつくる事業者団体・福友会(福岡地区型枠工事業福友会)の会長を務める池之上和夫氏に、現状と展望を聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

<技術力に定評 情報収集力が支える>
 ――御社は独特の動きをしますから、後を任される人も大変でしょう。近年では、活動範囲が九州全域に広がっているようですね。

池之上和夫 池之上 あるゼネコンさんの要望で、九州一円の大工工事をカバーしなければならないという事情もあるのですが、半分は私の個人的な性分で仕事をしている側面もあります。最近だと、うちの若い子は、毎朝5時半に出発して八代(熊本県)に通い、夜の8時に帰ってきています。遠隔地の仕事は、手間もかかるし採算性も悪い。1年間で見ると、この手の仕事が5,000~6,000万円ほどあり、正直なところ「余計なことをしなければ良かった」と思うことも少なくありません。自分でも欠点だとは思うのですが、仕事をする以上は「良いとこ取り」ばかりでもいけませんしね。若い子たちは、こうした私の考えを理解しているからこそ、黙って付いて来てくれているのだと思います。

 ――景気の悪いときに材料を大量に購入するなど、設備投資の面でも一線を画す動きが特徴的ですね。

 池之上 これも、余計なことをする性分のせいでしょうか。材料がないと聞けば真っ先に買って持って行きますし、先日は20年ぶりにアルミ管の新製品が出たというので、さっそく買いに走りました。リース業者は、もはや建設資材には投資しませんし、サポート製品を注文すれば、今や1カ月待ちは当たり前です。こうした資材をいち早く抑えることで、材料の価格を抑えつつ、仕事をスムーズに進めることが可能になります。2カ月ほど前から急騰している木材についても、早くから手を打ったおかげで値上がりの影響を受けずに済みました。

 ――情報収集にかける熱意と機動性が、御社の強みである技術力を支えていることがうかがえます。

<今を逃せば明日はない 職人を守る気概を>
 ――話を業界団体の活動に戻しますと、業界環境の好転を受けて、加盟各社の考えはどのように変わってきていますか。

 池之上 昨年、一昨年とゼネコンへの陳情に行き、適正単価や社会保険料の元請負担といった我々の要望を伝えるかたわら、どうしてここまで単価が下がってしまったのかについて、皆で膝を突き合わせて考えてきました。やはり、一番の責任は、我々経営者にあるのではないかということです。同業者ですから競争は避けられませんが、経営ができるステージで競争をしないと共倒れになってしまいます。上から指し値をされれば、それを従業員に押し付け、さらに下請に押し付ける。従業員や職人の生活を守るために突っぱねていれば、こんなことにはならなかったでしょう。末端まで染みついた弱い者いじめの構造に経営者が甘えた結果、自分たちの首をも絞めることになったのです。

 ――議論の結果、対応策は生まれましたか。

 池之上 1つは競争と経営のバランスについての認識、もう1つは職人の生活を守る姿勢を経営の根幹に据えなければならないという点についての認識を、経営者相互で共有する必要があるとの結論に至りました。とくに、職人の生活には、社会保険料の問題が絡んできます。ひとたび導入されれば、ここを削ることはコンプライアンスにより許されませんので、今までのように単価が下がることもありません。仮に共有できなければ、再び同じことの繰り返しです。それだけは避けねばなりません。

 ――生コン組合のようにまとまった例もありますが、アウトサイダーを完全に封じることは難しいようですね。

 池之上 どこの世界にでも、明日の飯に困って下をくぐる業者は出てきます。ただ、共通認識が大勢を占めれば、そうした業者はほんの一部ですから、大きな影響はありません。大切なのは、組合を挙げてこれをやらねばならないという強い決意であり、今この時期にやらねば明日はないという危機感なのです。

(了)
【文・構成:田口 芳州】

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<COMPANY INFORMATION>
■(株)伊佐工務店
所在地:福岡県太宰府市大佐野807-47
設 立:1980年12月
資本金:2,000万円
売上高:(13/3)21億8,295万円
URL:http://www.isa-home.jp

<プロフィール>
池之上プロフィール池之上 和夫(いけのうえ・かずお)
鹿児島県生まれ。学卒後に来福して大工としての経験を積み、21歳のときに池之上組を創業。同社は、1980年12月に(有)伊佐工務店として法人化され、90年9月の株式会社化を経て現在に至る。2012年、福岡地区型枠工事業福友会の会長に就任。


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