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2016年11月29日
15年越しの借りを返す

 

akusyu.jpg 年末の挨拶を兼ね、ある土木工事業者を訪ねた。大手から地場まで、ゼネコンからの下請工事が主体の同社。同社A会長は今年1年を「いいことも、悪いこともあったな」と振り返りながら、昔話にも花が咲いた。とくに力が入ったのが、中堅ゼネコンB氏との一節だった。

 15年も前のことである。同社は中堅ゼネコンの依頼で、とある大型施設建築用地の現地調査を行った。更地となっていた広大な土地には、雑草が生い茂っていた。当時、ゼネコンの部長だったB氏から草刈り作業の依頼を請け、いつものように作業を行った。5~6名で、たった1日で仕事は終わった。ただ、その後、施設建設は事情により、実現しなかった。A会長にとってみれば、草刈り作業はくたびれ損で終わってしまったが、そんなことは日常茶飯事。いちいち覚えるまでもない。それから、B部長は転勤となり、顔を合わすこともなくなってしまった。

 それから瞬く間に歳月が過ぎた。当時、部長だったB氏は支店長となり、九州に赴任していた。最近、とある現場で、A会長はB氏と再会を果たした。B氏は開口一番、「あの時の借りがある」と放ったのだ。「何のことだろうか?」と戸惑うA会長だが、まもなくB氏はA会長率いる土木業者を協力会に引き入れた。B氏は、15年前に草刈り作業でタダ働きさせたことを覚えていたのである。「当時の草刈り作業代5万円が今では何十倍にもなっている」とA会長。こうやって、15年越しの借りは大きな利息となって返ってきたのである。

【東城 洋平】


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