ネットアイビーニュース

2016年12月22日
杭打ち業者の疑惑を追いかけ続けた6カ月(前)~ブローカー・末広産業

 

 NetIB-Newsでも反響の大きかった、杭打ちブローカー・末広産業の疑惑追及。調査開始から、一連の報道を終えるまでの約6カ月間、筆者の仕事はまさに「末広」一色となっていた。ピンハネ、丸投げ、建設業法違反の疑い。客観的証拠のそろった報道に、反論の余地を与えず、業界に真実を突き付けてきた。これまで記事にしなかった取材の裏側を振り返る。

旧本社に取材に出向いた4月

suehiro.jpg 末広産業(株)の佐藤九一郎社長との初対面は4月であった。訪れたのは当時、福岡市城南区鳥飼にあった本社(現在は福岡市西区拾六町)である。事前に、近年の業績などは調査済み。売上は20億円に迫り、莫大な利益を残していた。到着して驚いたのは、建設会社らしくない本社の様子。平屋でプレハブに見間違うような簡素な建物。重機もなければ、作業服の従業員もいない。仕事が忙しいからだろうか、とくに気に留めることもなかった。訪問時、先に来客があり、そばのテーブルで待たされた。先客はどうやら金融機関のようだ。景気のいい話が聞こえてきた。建設業界は下請け業者も潤っているのだろう。そう思い、佐藤社長との対面を果たした。何の後ろめたさも見せず、淡々と業績好調の理由を挙げていた。仕事とは何か、そして人材育成のために、どのような取り組みを行っているのか。そんなうわべの話で終わりかけた。最後に事前に入手していた本社移転の情報をぶつけた。眼光が鋭く光った。「どこで聞いたのか」という、この言葉だけトーンが違った。少しだけ本性が表れてきたように感じた。

施工体系図が動かぬ証拠

 取材の過程で驚いたのは、施工体系図を分析したときだ。「公共工事の実績が豊富」ということで、どれだけ福岡市発注工事に参加しているのかを知るため、施工体系図の情報公開請求を実施。明らかとなったのは、施工力をともなわない同社が過去5年間の福岡市発注工事計38件ですべて1次下請けに入り、2次下請けに大手杭打ち業者が入るという衝撃的事実だった。さらに、配置技術者数に対し、施工件数が多すぎる。そもそも業界関係者からは、「ろくに技術者も出していない」との声が漏れ聞こえていた。即座に「2次下請けへの丸投げだ」と確信した。1次下請けとしての仕事をせずに、ピンハネにより私腹を肥やしているのだ。商社として、杭の販売だけをしているなら問題はない。しかし、1次下請けに入り、工事実績として完工高を堂々と記載しており、まっとうな業者から見れば、不正のオンパレードである。

 取材・報道を継続できたのは、「これが業界の常識だから」という色眼鏡ではなく、一般市民の目線で物事を見てきたからだ。2次下請けに大手が入っているなら、1次の末広産業は必要ないはずだ。その分、工事費は削減できる。2次・3次下請に仕事を丸投げし、自らはのうのうと利益をかすめ取っていく。現場作業員だけが汗水たらして働いている。努力している人が馬鹿を見る状況だ。最後までとことん調べ上げてやろうと、腹が据わった。

(つづく)
【東城 洋平】

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